一般貨物自動車運送事業を運営するためには、交通事故を防止し、安全・安心・確実な輸送を実現するために、運行管理者を選任しなければなりません。
運行管理者とは、運行の安全確保を適切かつ効果的に行うため、各営業所に配置される運行管理の専門家で、業務の遂行に必要な権限を与えられて専門的に従事する方のことをいいます。
なお、運行管理者を複数選任する場合や、運行管理補助者を選任する場合を除いては、運行管理者と運転手との兼任はできませんので、ご注意ください。
運行管理者に求められること
運行管理者に求められるものとしては、次の事項が挙げられます。
① 運行管理者は、誠意を持って業務の遂行ができる。
② 運転手や従業者を統率できる強い指導力をもっている。
③ 交通事故や災害の防止を図り、自動車の効率的運用が図れる。
④ 法、政令、省令、告示、通達だけでなく、取扱う旅客に応じて関係する法令の知識に精通している。
⑤ 自動車の構造、機能、道路交通、人(乗務員等)の心身機能、健康管理に関する知識に精通している。
⑥ 気象条件や自然現象と自動車の走行上の知識に精通している。
運行管理者の業務については、こちらの資料も参考にして下さい。
>> 貨物自動車運送事業の運行管理に関する基本的な考え方(国土交通省)
運行管理者の業務(貨物自動車運送事業輸送安全規則第20条第1項)
貨物自動車運送事業輸送安全規則第20条第1項では、運行管理者の業務として次の事項が挙げています。
① 選任された運転者以外の運転指示禁止
② 乗務員の休憩・睡眠施設の管理
③ 定められた勤務時間・乗務時間の範囲内で乗務割を作成し、乗務指示
④ 疾病、疲労、飲酒等の不安全乗務員の乗務禁止
⑤ 長距離又は夜間運転の交替運転者の配置
⑥ 従業者に対する過積載防止の指導・監督
⑦ 従業員に対する貨物の積載方法の指導・監督
⑧ 点呼の実施、その記録の保存
⑨ 運転者ごとに乗務記録をさせ、記録を保存
⑩ 運行記録計による記録と記録の保存
⑪ 運行記録計の記録不能車の運行禁止
⑫ 事項の記録と保存
⑫の2 運行指示書の作成、運転者への携行指示、変更内容の記録、指示、運行指示書の保存
⑬ 運転者台帳の作成、運転者の所属営業所に備える
⑭ 乗務員の指導、監督及び運転者の特別な指導と適性診断の受診
⑮ 異常気象時の乗務員への指示・措置
⑯ 補助者(運行管理業務を補助する者)に対する指導・監督
⑰ 国土交通大臣が定めた事故防止対策に基づく従業員の指導・監督
④から⑭までは事業者が行うべき業務ですが、運行管理者が代わって行ってもよい業務となっています。
運行管理者の業務については、こちらの資料も参考にして下さい。
>> 貨物自動車運送事業の運行管理に関する基本的な考え方(国土交通省)
必要な運行管理者の人数について
運行管理者の必要数は、安全の確保に関する業務を事業者と一体となって行う必要性から、営業所の車両数に応じて、安全の確保に関する業務を遂行するために十分な運行管理者数が決められています。
なお、運行管理者は他の営業所の運行管理者、又は運行管理者補助者を兼務することはできません。
貨物運送業の事業用自動車の車両数と運行管理者の選任数の関係
事業用自動車の車両数 | 運行管理者数 |
29両まで | 1人 |
30両~59両まで | 2人 |
60両から89両まで | 3人 |
90両から119両まで | 4人 |
以降、30両ごとに1名ずつ増員が必要となります。 |
運行管理者になるためには?
一般貨物自動車運送事業では、運行管理者を選任する必要がありますが、その資格要件は、次のいずれかの要件を満たしていることになります。
(1) 国家試験である運行管理者試験に合格すること。
(2) 一般貨物自動車運送事業の事業用自動車の運行管理に関し、5年以上の実務の経験を有し、かつ、その間に国土交通大臣が認定する講習(独立行政法人自動車事故対策機構(以下、「機構」といいます。)が行う基礎講習又は一般講習)を5回以上受講していること。なお、少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。
(3) 当該事業の運行管理に関し1年以上の実務を経験した上で、国土交通大臣が定める 職務(機構が実施する運行管理者等指導講習の専任講師)を2年以上経験しているこ と。
運行管理者資格を取得するには、試験に合格することが一般的ですが、(2)のように5年の実務経験と5回の講習の受講により資格を取得することもできます。
運行管理者試験については、こちらをご覧ください。>> 公益財団法人 運行管理者試験センター
運行管理者指導講習については、こちらをご覧ください。>> 独立行政法人 自動車事故対策機構
統括運行管理者の選任について
複数の運行管理者を選任している営業所では、その責任が分散しないように、また、運行管理業務が統一された方針で処理、実施されるよう運行管理業務全般を統括する運行管理者を選任する必要があります。
これが、統括運行管理者です。
統括運行管理者についても、選任、解任の届出が必要となります。
運行管理者補助者の選任について
24時間営業をしている場合等、1人の運行管理者だけでは現実的に勤務不可能であるため、営業所内で一定の能力を持っている方を「補助者」としてあらかじめ選任することができます。
この方が、運行管理者補助者です。
運行管理者の指揮監督の下、運行管理補助者が業務を実施し、営業所における運行管理が完全に実施される必要があります。
運行管理者は補助者に対し、代わりに業務を行う者としての資質を高める教育や、業務の監督を行わなければなりません。
補助者が実施できる業務 | ①点呼の一部(少なくとも運行管理者が3分1を実施しなければならない。) |
補助者を選任する場合の留意事項 | ①運行管理者資格証を取得しているか、基礎講習を受講している必要があります。 |
なお、貨物の運行管理者補助者については,事業者が選任すればよく、運輸支局への選任届の提出は必要ではありません。(貸切旅客の場合は届出が必要です)
運行管理者にの選任(解任)届出書の提出
運行管理者を選任又は解任した時は、管轄の運輸支局へ届出をしなければなりません。
新規許可の場合には、運輸開始前又は同時に届出を行います。
①運行管理者資格者証の写し
②運行管理規程(提示)
運行管理者の選任届出はお任せください!
当サポートデスクは、運行管理者選任(解任)に関するご相談・届出のサポートを承っております。
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行政書士の中村 武と申します。
幣事務所では、南大阪・和歌山地域を中心に、貨物運送業許可申請、貨物運送事業運賃設定届出、運輸開始届出等貨物運送事業の運営をサポートしております。
迅速・丁寧に対応することはもちろんのこと、事業者様のお話をしっかりと伺い、明るい未来が築けるよう手続だけではなく、将来の事業運営のことについても事業者様と一緒に考えサポートします。
大阪府・和歌山全域に対応しておりますので、貨物運送事業に関するお手続きでお悩みの際は、ご遠慮なく当事務所へご相談ください。
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