貸切バス事業を開業するためには、開業費用等を含む資金計画を綿密に立てる必要があります。

平成25年10月1日より必要な所要資金の額は増額されており、開業時点で十分な資金の確保が必要となっています。

いくらぐらいの資金が必要になりますか?」とのご質問を多くいただきますが、一概にはお答えすることはできません。

貨物運送業の開業といいましても、お客様各々のリソースは異なりますので、車両・営業所・車庫の使用権原をどのように取得するのか人件費をどうするのか等、前提条件によって大きく変わってくるからです。

ただ、上記の通り、平成25年10月1日から必要資金の算定方法が変わったことにより、車両を所有している場合でこれまで600万円程度が最低金額だったところ、1,000万円程度に変わってきているところですので、これから開業する方にとっては、それ相応の資金を用意する必要があります。

では、どのような資金をどのように算定するのかを見ていきましょう。

資金計画に関する公示基準

資金計画について、国土交通省の公示基準では次のように記載されています。

所要資金の見積もりが適切なものであること
所要資金の調達に十分な裏付けがあること、自己資金が所要資金に相当する金額以上であること等資金計画が適切であること
③自己資金が、申請日以降許可日までの間常時確保されていること

よって、所要資金計画は、下記所要資金一覧の項目について慎重に検討し、それを裏付ける資料(見積書等)を用意し、適切に計画しなければなりません。

貨物運送業開業に必要な所要資金一覧

車両費用購入の場合…頭金及び6ヶ月の分割(分割払いの場合)又は取得価格(一括払いの場合)
リースの場合…リース料の6ヶ月分
営業所・駐車場費用所有の場合…頭金及び6ヶ月の分割(分割払いの場合)又は取得価格(一括払いの場合)
分割の場合…敷金・礼金等及び6ヶ月分の分割
人件費役員報酬・給与・手当2ヶ月分
健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険・労災保険料ケ月分
福利厚生費2ヶ月分
燃料費月間走行距離(㎞)÷1ℓ当たり走行距離(㎞)×1ℓ当たり単価(円)×2ヶ月分
油脂費燃料費の3%
修繕費外注修繕費…1両月額(円)×2ヶ月分×両数
自家修繕費・部品費…1両月額(円)×2ヶ月分×両数
タイヤチューブ費…月間本数×1品当たり費用(円)×2ヶ月分
機械器具・什器備品費取得価格
施設賦課税自動車税及び自動車取得税の1年分
環境性能割
保険料自賠責保険、任意保険の1年分
登録免許税90,000円
その他旅費、会議費、水道・光熱費、通信・運搬費、図書・印刷費、広告宣伝費等

自己資金額が、上記費用の合計額以上でなければ許可を受けることはできません。

自己資金は金融機関の発行する「残高証明書」で証明

自己資金を証明するための書類は、金融機関が発行する「残高証明書」となります。

法人の場合は、法人名義の口座で発行してもらう必要がありますので、新設法人で申請する場合で設立資本金が上記所要資金より少なくて、口座内の資金が足りない場合、借入する等の方法により、法人口座に必要資金を入金しておく必要があります。

残高証明書を取得するタイミング

自己資金は、所要資金以上の金額を許可申請時から許可日までの間、確保していなければならないのですが、貨物運送業の許可申請の際に同時提出するわけではありません。

近畿運輸局の場合、申請から2~3ヶ月後に「残高証明書」を提出するようFAXにて指示があります。

残高証明書の取得日付は2日分で、基本的には下記日付のものとなります。
・許可申請日
・上記指示があった日に近い任意の日

指示があった日分の残高証明書を取得し、万一、算定した所要資金に残高が満たない場合は、その時点で審査は終了となり、申請を取り下げなりません。

また、審査状況によっては、更に別の日付のものを求められる場合がありますので、許可までの間は残高を確保しておくように注意しなければなりません。

審査の過程で所要資金が変更となり増額となる場合もありますので、審査基準の改正で必要資金が増加していてなかなか難しい面もありますが、確保しておく資金は算定した所要資金ギリギリではなく、少し余裕を持たせた金額を確保しておくことをお勧めします。

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行政書士の中村 武と申します。

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