一般貸切旅客自動車運送事業の運賃料金の設定・変更は、事前(30日前まで)に運輸局に届け出る必要があります。

貸切バス事業の経営には、人件費、燃料費、車両点検修繕費、保険料等の経費がかかります。

これらの経費を反映して、運賃・料金の設定を行わなければならないのですが、これをバス事業者側で算定して適切な運賃を算定するのは困難ですので、国土交通省が料金の上限値と下限値を決めて公示(公示運賃)し、各バス事業者がその範囲内で料金を決めるようになっています。

公示運賃を適用させる場合には、開業前に届け出ることで、特に審査がなされることなく、運賃・料金を設定することができます。

現在の運賃・料金制度になったのは平成26年4月1日からで、高速ツアーバス事故で浮き彫りになった貸切バス市場の構造的な問題の改善の一環として変更されました。

変更命令の審査を必要としない運賃・料金の額の範囲(近畿運輸局公示運賃)

運賃及び料金の上限額及下限額が、「一般貸切旅客自動車運送事業の変更命令の審査を必要としない運賃・料金の額の範囲」の範囲内のものであって、運賃・料金の適用方法が、「一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の標準適用方法」と合致するものであるときは、審査は必要とされません。

上限値下限値
キロ制運賃
(1kmあたり)
大型車170円120円
中型車150円100円
小型車120円90円
時間制運賃
(1時間あたり)
大型車8,660円5,990円
中型車7,310円5,060円
小型車6,280円4,340円
交替運転配置料金キロ制運賃(1kmあたり)30円20円
時間制運賃(1時間あたり)3,130円2,170円
深夜早朝運行料金時間制運賃及び交替運転者配置料金(時間制運賃)の2割増以内
特殊車両割増料金運賃の5割増以内

貸切バスの運賃・料金の算出方法(時間・キロ制併用運賃方式)

貸切バス運賃の算出方法については、基本的には、時間制運賃キロ制運賃の2種類を合算して算定します。

料金については、交替運転者配置料金深夜早朝運行料金特殊車両割増料金があり、状況に応じて当該料金を加算します。

貸切バスの運賃額(消費税込み)

貸切バスの運賃額=(時間制運賃+キロ制運賃)×1.10

時間制運賃

時間制運賃は、車庫から出るまでの点検時間1時間と車庫に帰ってからの点検時間1時間を合わせた2時間安全運転コスト)と走行時間時間単価を掛けて算出します。

なお、走行時間が3時間未満の場合は、走行時間が3時間として計算されます。

時間制制運=(走行時間+2時間)×時間単価

キロ制運賃

キロ制運賃は、車庫を出てから各地を回り車庫へ帰るまでの走行キロ数にキロ単価を掛けて算出します。

キロ制運賃=走行キロ×キロ単価

貸切バスの運賃・料金について
近畿運輸局リーフレットより

交替運転者配置料金

長距離・長時間・夜間運行などでの安全運行のために交替運転者を配置した場合に適用できます。

深夜早朝運行料金

22:00~5:00の間に運行する場合には、2割を限度に割増料金を適用できます。

特殊車両割増料金

サロンカー、リフト付きバス等の特殊車両を使用する場合に5割を限度に割増料金を適用できます。

一般貸切旅客自動車運送事業の運賃・料金の標準適用方法

>> 貸切バスの運賃・料金の具体的な適用方法についてはこちらをご覧ください。

公示運賃によらない運賃を設定する場合

上記公示運賃によらない運賃を設定する場合には、原価計算書の提出など道路運送法第9条第6項の規定に該当するかどうかの審査がされた上で変更命令がなされます。

届出運賃違反による行政処分について

届出によらない運賃又は料金の収受(不適切運賃収受)が判明した場合には、初違反で60日車再違反で120日車車両使用禁止処分となってしまいます。

旅行会社からの斡旋で、ついつい下限額を下回った運賃(下限割れ運賃)でツアー客への運送サービスを行うと、上記処分の対象となりますのでご注意ください。

この場合、旅行会社に対しても旅行業法に基づく措置が講じられることになります。

貸切バス事業の開業をご検討の方へ

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行政書士の中村 武と申します。

幣事務所では、南大阪・和歌山地域を中心に、貸切バス事業許可申請運賃設定届出運輸開始届出貸切バス事業の運営をサポートしております。

迅速・丁寧に対応することはもちろんのこと、事業者様のお話をしっかりと伺い、明るい未来が築けるよう手続だけではなく、将来の事業運営のことについても事業者様と一緒に考えサポートします。

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